「書く」から「対話する」へ。プログラミングの概念が変わった
元エンジニアの私が、AI(CursorやAntigravity)を使い始めて一番驚いたこと。
それは、「プログラミング=コードを書く作業」という定義が、すでに過去のものになりつつあるということです。
昔:マシン語に歩み寄る「翻訳者」だった私たち
C言語でプログラムを書いていた頃、私たちの仕事の半分は「マシンの機嫌を伺うこと」でした。
* セミコロンひとつ忘れても動かない。
* メモリの解放を忘れればパンクする。
* ポインタの指し先を一歩間違えれば、システムは沈黙する。
私たちは、人間のやりたいことを「マシンが理解できる厳密な文法」に翻訳する、いわば「通訳」兼「翻訳者」でした。だからこそ、文法を覚え、ライブラリを頭に叩き込むことが、エンジニアのスキルの象徴だったのです。
今:AIという「超優秀な新人」への「指示役」
ところが、今のAI開発環境はどうでしょう。
私が「こんな機能を作って」と日本語で伝えると、AIが瞬時にコードを生成します。
ここで起きているのは「執筆」ではなく**「対話」**です。
私がAntigravityなどのツールを使って感じるのは、自分自身がプログラミングをしているというより、**「ものすごく仕事が早い新人エンジニアに指示を出している上司」**のような感覚です。
> 私: 「このボタンを押したら、データをクラウドに保存して」
> AI: 「承知しました。保存用のアセットと、通信部分のコードを生成しますね」
>
この間、わずか数秒。かつて私が数時間かけて書いていた定型文(ボイラープレート)を、AIは一瞬で、しかも正確に書き上げてしまいます。
「論理的思考」だけが共通言語になった
「じゃあ、プログラミングの知識はもういらないのか?」
そう聞かれたら、私は**「いいえ、むしろ元エンジニアの経験が活きます」**と答えます。
なぜなら、AIに指示を出すには**「論理的な設計図」**が必要だからです。
* どういう順番で処理を動かすか
* どんなデータが必要か
* 例外が起きた時にどう振る舞うか
これらは、N88-BASICでもC言語でも、そして現代のAI開発でも変わらない**「プログラムの骨組み」**です。文法(書き方)という高い壁が取り払われた今、この「考え方」さえあれば、誰でもサービスを作れる時代になったのです。
エンジニア未経験者にこそチャンスがある
「プログラムなんて、難しそうな英語の羅列でしょ?」と敬遠していた方にこそ、今のツールを触ってみてほしい。
今、私たちがキーボードから打ち込んでいるのは、呪文のようなコードではありません。自分の「やりたいこと」という意志です。
「書く」苦労が消え、「対話」の楽しさが残った。
これが、私が感じている現代プログラミングの正体です。
次回予告
第3回: Cursorは魔法の杖か?元C言語エンジニアが触ってみた感想
いよいよ具体的なツールの話に入ります。AIエディタ「Cursor」を初めて触った時、私の体に走った衝撃とは。そして、なぜそれが「魔法」に見えたのか。実体験をお話しします。
